手塚治虫の夜の声という話
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こんにちは、無能です。
よく思うのだが、誰かに恩があったり優しくされたのであれば返さなければならない、ということがあるんだけどもここに関しては自分は別にその人に対して返そうとしなくてもいいと。
というのも、誰かに恩があったり優しくされたのであれば別の誰かに向けて自分も同じようにするという意識の方がもっと平和的だと思う。
というか、優しくしたから優しくせえよ!は、ちょっと狂気的じゃないかなあ・・・と思うだけなんですが。
他の誰かに向けて、のほうが今に生きているし、グルーヴが生まれると思いません?
と、「いまを生きる(原題:Dead Poets Society)」の"Seize the day"みたいな・・・。
手塚治虫の夜の声という話
リアルタイムで世にも奇妙な物語でテレビで見たのがきっかけで、いい話だったので原作を調べたら手塚治虫だった。これを気に手塚治虫作品を読むきっかけにもなった話。
って、調べたら2017年で今から7年前ってワケですか・・・。16か17歳くらいで高校生かギリギリ卒業くらいか?時の流れは残酷だ・・・。
手塚治虫の短編集「空気の底」に入っている話でもあります。
空気の底もまた、良いロマンチックな話ですけれどもそれは今回は置いておきます。
ネタバレ含む、というかいちいち気にしたくないので以下は好きなように書かせてください。
夜の声の主な登場人物 :
- 冷酷な社長
- かわいい女の子
- ホームレス
となっており、結論からストーリー的には以下のようになる。
- 冷酷な社長 = ホームレス
- かわいい女の子
女の子はホームレスを助けたのだが、実はそのホームレスは冷酷なイケイケ社長であり、土日だけホームレスをして生活をしている変人だった。
そこでその社長はその女の子に惹かれて結婚まで至るが、自分の身分的な自己嫌悪から嫌気が差している女の子。
最終的に女の子か財産を目当てに社長を殺害してしまって、心惹かれていたホームレスの元まで届けようとするがもうそのホームレスはいない。
と、もはや読んだ記憶だいぶ薄いがなんとかあらすじを再度読んで捻り出したので間違っているところあるかもしれないが上記のような内容で実際に読んだ方がもっと細かい描写が見れるので中古で「空気の底」を買ったほうが良いです。というか「空気の底」自体も面白い。
なんとも含みを持つオチというか、すごく短い話の中で読者を考えさせられるものを書いているのが流石だなというのは置いておいて。
これ、どちらかが打ち明けていたらこんな破滅的な物語にもなっていないようにも思えるのは一つあるのだが。
最終的に女の子は自分の嫌な気持ちを生む場所も安心出来る場所もどちらも失った状態になってしまったんだ。
ある意味で言えば、破滅的な行動をしなければ嫌味言う場所も土日はありながらも平日は嫌なことありつつも社長の嫁というスタンスは維持できたんだが・・・。
読み手からは社長 = ホームレスとわかるけど、話の中の女の子からしたら"なぜか消えた私の大好きなホームレスさん"状態になっている。
話の中の女の子が今も生きていたら、もしかしたらそのホームレスが結婚した社長だった事実すらわからないまま残りの生涯を過ごすかもしれないしそれはそれで獄中でも幸せなことなのかもしれない。一番苦しいのは自分の手で実は自分の好きな人を犯してしまったということを知った時だろう。
ただし、社長=ホームレス側からしたら引き寄せの法則的なものを無理に捻じ曲げてしまった八百万の神々の怒りに触れてしまったのかもしれないし一概に女の子側が本当に悪いのか?というところもある。
あくまでこの話のそれぞれの悪手なところは以下だと思う。
社長/ホームレス : 自分の正体を明かして正々堂々と女の子と向き合うべきだった
女の子 : 人をあやめちゃだめ!
になるとは思うけどもタダの理想論だし、そんな理想論ばかりでうまく行くならば、こんな匿名掲示板、ツイッターも、ヤフー知恵袋にも人の不満でいっぱいになっていないだろうなあ・・・。